開業に役立つマメ知識
1. 家庭医とは?
家庭医とは日常での初期医療(幅広い年齢や多様な病気)に対応でき、往診・訪問診療、時間外相談、必要があれば適切な病院の紹介、地域との連携体制をしき、糖尿病など生活習慣病を中心とした慢性疾患を指導してくれる医師のこと。
総合医ともいう。
2. 医療行為とは?
医療行為とは、人の傷病の治療・診断または予防のために、医学に基づいて行われる行為。
医療行為の3条件
・治療を目的としていること
・承認された方法で行われていること
・患者本人の承諾があること
満たさない例外的医療行為
・輸血用血液の採血
・験的治療行為
・先端医療
・幼児、精神障害者、意識不明者など患者本人の承諾がとれないとき
・緊急時の医療
医療行為が可能な者
自分自身の体に行う行為は該当せず、家族は本人に準ずるとして、家族に対する医療行為は事実上容認されている。
3. 具体的範囲
医療行為に該当する行為
・レーザー脱毛、刺青を入れる行為、ピアス、ケミカルピーリング
医療行為に該当しない行為
・検温、血圧測定、パルスオキシメーターの装着、耳垢除去、爪切り、点眼、湿布の貼り付け、軟膏塗布、座薬挿入、薬の内服の介助、口腔内の清拭、浣腸
・身長体重計測、肺活量測定、抜毛、検尿、検便、心理カウンセリング
許される行為
・筋萎縮性側索硬化症患者に対するたんの吸引
4. クリニックの内装通例
クリニックの診察室
診療者(医師、看護師、事務員)の動線と患者の動線
診察室デスクの位置
・診察室の中ほどに置く
・壁や窓際に寄せて置く
・受付と処置室の接点に置く
よりよい診察室
・医師の守備範囲、空間を作る
・患者、職員の動線を活用する
・診察室を中心としてそこからの可動範囲に収める
待合室
基本条件
患者を一時収容する場…外来患者総数のおよそ20%
患者心理に対して…BGMも効果あり
患者の肉体に対して…イスの適寸
・座 高 32~26cm
・座 幅 45~50cm
・座奥行き 44~50cm
・背もたれの高さ 47cm~
・座面傾斜度 7~6度
駐車場
小型車4台程度が必要 直角駐車場は27.2㎡/1台、45度駐車で32.2㎡/1台
玄関前のアプローチ
手すりの高さ:80~85cm
安全なスロープ:勾配は1/12以下
受付カウンター
高さ95cm~105cm
5. 医療・福祉専門職とは?
歯科衛生士 | 歯科助手業務および歯石除去、フッ素塗布など虫歯や歯周病の予防処置を行う。 |
歯科技工士 | 入れ歯、差し歯、金冠、矯正装置などの製作・修理を行う |
登録販売者 | 第2類・第3類の医薬品の販売員。改正薬事法により08年新設 |
理学療法士(PT) | 歩行など基本動作能力の回復を図る |
作業療法士(OT) | 作業や身辺訓練を通して社会復帰を目指す |
言語聴覚士(ST) | 言葉に関する機能の回復を図る |
救急救命士 | 気道確保、拍動回復などの救命処置をする |
臨床心理士(カウンセラー) | 心理療法で、患者の心の悩みを解消する |
薬剤師 | 薬の知識を生かし、調剤などを行う |
臨床検査技師 | 超音波、血液など様々な検査を行う |
臨床工学技士 | 人工心肺など生命維持装置の操作・点検 |
診療放射線技師 | 検査や治療のため、放射線を照射する |
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師 | 名称通りの行為を行うことができる |
柔道整復師 | 骨折・脱臼・打撲などの怪我に対し、徒手で施術を行う。受傷直後の処置からリハビリまでトータルに対応 |
義肢装具士 | 義肢、コルセットなどの装具を制作する |
視能訓練士 | 斜視、弱視患者らに機能回復訓練を行う |
管理栄養士 | 健康回復などのため、栄養指導を行う |
社会福祉士(ソーシャルワーカー) | 医療・福祉の知識を生かし、患者らへ助言・指導を行う |
介護福祉士 | 入浴、排せつ、食事などの介護を行う |
精神保健福祉士 | 精神障害者の社会復帰の援助を行う |
福祉用具専門相談員 | 介護者に車いすや特殊ベッドなどの福祉用品の貸し出し・販売をするときに、選び方や使い方のアドバイスを行う |
社会福祉主事 | 各種行政機関で保護・援助を必要とする人のために相談・指導などを行う |
訪問介護員(ホームヘルパー) | 高齢者宅などを訪問、介護支援を行う |
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 要介護者の相談に乗り、適切なサービス提供の調整を行う |
6. 自己診療と自家診療について
自己診療
(イ) 医師が自分自身を診療して処方する行為は認められない
自家診療
(ロ) 同一医療機関の別医師による診療・処方については
(ハ) 家族や従業員などを診療・処方することについて
(イ) | (ロ) | (ハ) | |
医師国保の場合 | 不可 | 不可 | 不可 |
一般国保の場合 | 不可 | 可 | 可 |
社会保険の場合 東京医業健保組合 | 不可 | 可 | 可 |
東京歯科医師健保組合 | 不可 | 望ましくない=自粛 不可 不可 |
従って保険診療が認められない場合は保険調剤も認められない
7. 自己診療
医師自身が、自分自身に対する診療を行うことを自己診療といいます。自己診療については、健康保険上保険給付の対象として認められないとされていますので、注意して下さい。したがって、健康保険で医師自身が診療を受けようと思う場合は、他の医師にお願いして診察をしてもらったうえで、その主治医の指示で検査のオーダーや処方がなされるようにしてください。
8. 自家診療
1. 医療機関の職員やその家族を診察治療することを自家診療といいます。ついつい診察を省略したり、診療録記載がおろそかになったりすることがよくあります。しかしながら厳密にいうと、診察の省略は医師法第20条違反、診療録記載不十分は医師法第24条、療担第8条、第9条、第22条違反です。某国立大学病院でハルシオンにかかわる刑事事件があったことから、職員の無診察投薬は問題となりやすいといえます。
2. 医療機関の職員やその家族から一部負担金を徴収しないとしている医療機関が多いようですが、これは健康保険法違反ですので、診療の都度必ず一部負担金を徴収してください。
3. 職員が、勤務日である日の外来の前後に診療してもらった場合や、勤務日である休日に診療してもらった場合等の時間外、休日加算等は緊急性がなければ当然認められません。
9. 介護保険制度とは
①介護保険とは
②介護保険法の背景
③制度の構造
④給付について
⑤サービスと利用方法について
⑥介護サービスの自己負担額について
⑦要介護認定の解説
⑧介護保険料について
⑨高齢化社会への見通し
⑩民間にもある介護保険
⑪介護施設とサービスの内容
⑫訪問介護、入浴、看護
⑬通所介護、リハビリ
⑭短期入所生活介護、特定施設入居者生活介護
⑮痴呆型対応共同生活介護
⑯介護老人福祉施設、介護老人保健施設 介護療養型医療施設
⑰福祉用具販売、福祉用具貸与、住宅改修